JIS盤用VCBの保守と更新（第28回:CT2次電流トリップ方式とは(2)）

一般的なリレー試験器では、リレーに動作電流の設定し、摸擬電流を保護リレーに流すことで、動作試験は可能ですが、リレーの接点が開放されたあとで、VCBのトリップコイルに流れ込む電流の減衰を防ぐことは不可能なので、精々回路に入れる抵抗を大きくして、減衰量を減らす方法しかありません。.しかし、中には、リレーが動作すれば、特別に３A以上の試験電流を強制的にVCBに流し込んで、VCBの動作試験も同時に可能なように構成されたリレー試験器も存在します。（下図参照）両方の試験が同時にできますので、便利ですが、結構高価であるため、普及しずらい状況のようです。

下図に示しますように、事前に設定した試験電流に対して、実際のリレー試験で流れる電流が減衰することは明白なのですが、VCBが動作しないことに納得できず、自分で回路を組まれて、３Aの電流をVCBのトリップ回路に流して、トリップコイル自体の動作試験を試みる方もおられますが、トリップコイルの耐量の問題があり、３Aの電流を継続して流して結果的にトリップコイルを焼損させてしまう方が多く、注意が必要です。リレー試験器の動作電源は、電圧源なのですから、トリップコイルに流れ込む電流が、減衰するのは仕方がない現象なのです。

実際の回路では、CTの２次側は電流源となっていますので、CT比に応じた電流を、２次側の抵抗の大小にかかわらず流し込みますので、リレー動作試験で一度でも動作すれば、コイルの断線はないということから、トリップコイルに問題はないと判断していいのですが、一般的なリレー試験器を使う動作試験では試験に使用する電源は電圧源であるので、組み合わせ条件次第で、VCBがトリップしたりしなかったりすることがあると、気になって何度も試験を繰り返す方がおられます。この辺もJIS盤用VCBの設計と販売を難しくしている理由の一つです。下図に、実際の回路で、CTが電流源であることを説明していますが、この場合は、抵抗がいくら増えても、CTは電圧を上げて、CT比通りの電流を流そうとします。TC抵抗を人体に置き換えて見れば保守業務において、CT２次オープンがきわめて危険な理由が納得いただけると思います。

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