JIS盤用VCBの保守と更新 （第21回:日立VCBへの注油）
前回説明しましたように、日立のC形VCBは取扱説明書の保守の欄にありますように、必ず指定されているＦ－６４２の基油や、Ｆ－６４２のグリースを使わなければなりません。但し指定品を直接購入されますと、オイルは１リットル、グリースは、２００ｇの缶入りであるため、高価であり、使い切れずに余った基油等の処分にも困ります。ケーイーシーでは、下図にありますように、Ｆ－６４２グリースについては、３０ｇ、 Ｆ－６４２オイルは５０ｍｌの小単位に分けて販売しておりますので、ご利用下さい。また、２０ｍｌのオイラーに入れたもの（KV-NOH01）も販売しておりますので、適宜購入されることをお勧めします。ケーイーシーでは、ＫＶメンテナンスキットとして、東芝、富士、三菱用のオイルをセットにしたメンテナンスキット(KV-K01)を発売しております。このセットに、日立用のＦ－６４２入りオイラー(KV-NOH01)を加えて用意されますと、国内のＪＩＳ盤用ＶＣＢメーカ全４社のオイルが完全に揃うことになり、注油作業も先端の長いオイラーで実施できますので、F-642入りのオイラー(KV-NOH01)の追加購入をおすすめしております。
Ｆ－６４２オイルの注油方法ですが、必ず取扱説明書で、下図のように指定されている箇所のみに注油して下さい。時々、広範囲に広がるスプレー容器等を使って、広範囲に注油される方がおられますが、これは間違いです。機構部に使われている部品には、完成品をそのまま組み込んでいる場合もあり、その場合は、別の油やグリースを使っている可能性が高く、異なる油やグリースと混ざることで、不具合が生じる可能性があります。また絶対に注油してはいけない部品もあります。日立のＣ形では、下図に示してあるように、機構に対して説明されている７か所のみに適量（２～３滴でＯＫです）注油して下さい。注油する箇所に動かせるピン等があれば、軽く動かしながら注油し、オイルが機構部の奥の方まで届くように実施下さい。
７か所ある指定された注油箇所の内、（５２）と書かれた箇所への注油作業を代表例として、説明します。写真には、大抵オイラーも写っていますので、オイラーの向きや位置を確認し、写真の位置に沿いながら注油して下さい。拭き取ることが可能な旧いグリースは丁寧に拭き取り、新しいＦ－６４２グリースを詰め替える必要があります。先に新しいグリースを詰めてしまいますと、オイルが中に浸透しにくくなるので、旧いグリースを拭き取って、先に新しいオイルを注入した後に、新しいグリースを可能な限り機構に無理がかからないように慎重に詰め込んで下さい。グリースの完全な交換はオーバホールでなければ、できませんので、通常の保守では、オイルを十分に機構の奥まで浸透させることを優先して実施下さい。
注油後は、ＶＣＢを５回くらい開閉動作することで、オイルを内部に浸透させ、なじませることができます。
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