JIS盤用VCBの保守と更新 (第18回:絶縁劣化対策のまとめ)
「則武継雄の公開講座2021JIS盤用VCBの保守と更新 第一章絶縁劣化対策の真相」も、いよいよ最終回です。今回はそのまとめとなります。
今回の絶縁劣化のご説明の中で、冒頭に事故例として紹介した「ゲタ基礎構成のJIS盤に強風により汚水が下から吹き上がって、VCBが絶縁劣化」ですが、現在では、高圧受電設備指針のなかで、ゲタの両端を塞ぐように指導されていますので、問題の発生する事例は、新しい設備では殆どなくなりました。しかし旧い設備ではまだ未対策のまま残っていますので、注意が肝要です。
ゲタ基礎対策は、基本的にJIS盤自体の構成や、メンテナンスの問題ではなく施工工事のやり方にありますので、電気管理技術者の立場では、直接指摘しにくい内容で、施工業者の方にお願いするしかなかったのですが、高圧受電設備指針に明確に記載されますと、強く施工工事方法を指摘できます。但し、応急処置としては、VCBの真下に空いている換気口だけでも、鉄板等を置いて塞ぐという応急処置をするだけでも結果は大きく違ってきます。
また、この設備指針では、同時に盤の床面に排水口を設けることも義務付けられました。しかし、排水口の有無は、外部から確認することは難しく、更に新設当初は排水口があって正しく機能していたものが、塞がってしまったりして機能を果たさないでいる例もありますので、注意が必要です。
JEMAのパンフレットでは、あまりPRされていませんが、結構落とし穴になるのが、変圧器の容量アップに伴い、物理的サイズがアップしたので、箱体内に入りきらず、JIS盤外へ移管した場合の対策です。今までは、JIS盤内に発熱源である変圧器が収納されているため、発熱と盤内温度上昇のバランスが取れていたものが、変圧器を盤外に出してしまったことにより、突如として盤内で発熱する機器がなくなるわけですので、温度上昇は一気に少なくなります。しかし、床下や天井に空いている換気口の大きさはそのままですから、必要以上に換気され、冷やされてしまいますので、湿度を含んだ外気が盤内に侵入して、結露を起こし、一気に絶縁劣化を起こす事例が結構あります。この場合は、ともかくスペースヒータで、なくなった分の発熱量をカバーする対策が絶対必要です。
最後に、絶縁劣化事故が起き易い事例を列挙しましたので、ご自分の担当される設備がこうした例に該当しないかをよく注意下さい。
ともかく、盤内の温度上昇値が外気より、常に5度C上がっているように工夫することができれば、大抵の問題は解決します。
特殊状態(排気ガスや、海の周辺)については、こまめな清掃を繰り返すしかありません。
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