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JIS盤用VCBの保守と更新 (第13回:水の侵入阻止は困難!絶縁劣化対策は清掃!)

前回は、粉雪が発生する北海道の特殊性について説明しましたが、特殊地域以外の場所はなんとかなるのでしょうか?残念ながら、粉雪がなくとも日本の国土には、必ず台風が来襲します。災害をおこすような大きな台風は勿論ですが、本土に上陸する時は、亜熱帯性低気圧にレベルの落ちているものでも、年間に何度となくやってきますが、その時は、南方の海の暖かく湿った空気を一気に大量に運んできます。夜明けなど、JIS盤があまり電を消費していないで、冷え切っている時に、この高温の湿った空気がJIS盤を取り囲みますと、通常は盤内の方が外気より温度は高いのですが、逆に外気の方の温度が高いという状況になりますが、その時は気流の流れが通常の逆となり、床から外へ排気され、天井から、外気が入ってくるという状況になりますと、上位にあるDSなどの機器で結露が発生するのは避けられません。結局は、電線を通して、汚水がVCBに流れ込むという状況になります。対策としては、都度VCBの汚れを拭き取って、絶縁抵抗を回復していくしかないことになります。

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基本的に、JIS盤に設置されるVCBは、固定型が殆どですが、稀に、引出形のVCBが設置されている場合があります。年に一度の定期点検を効率よく行う意味では便利なものですが、通常の定期検査を行って、結果が正常だからと安心することはできません。

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VCBが固定形ではなく引出形のものが、JIS盤に使われている場合があります。これは、VCBに車輪と、抜き差し可能な断路部を設けて、VCBを盤外に引き出すことが可能なように構成されたもので、VCB本体のメンテナンスが楽なように構成されて便利なものですが、絶縁劣化対策上の盲点もありますので、注意が必要です。つまり、上位の機器で発生した汚水ですが、固定形なら、VCBに直接流れ込むのですが引出形の場合は、引出装置に使われている絶縁物に流れていき、その絶縁物を劣化させます。年に一度の定期点検で、VCBは引き出されて検査されますが、本体に汚水は届いていないので、正常な結果がでてしまい異常がないものと判断されます。引出装置の絶縁物は、一次側はVTに、二次側はTRにつながっているので、対地間の絶縁抵抗は測定できても、相間の測定はそのままでは不可能ですし、電線を外すのも停電時間の関係できわめて困難なので、省略される場合が多く、そのまま絶縁劣化事故になってしまう場合が多いので、注意が必要です。

VCB本体を清掃するにあたってのクリーナーの使い方

クリーナーは、絶縁物の表面に付着した汚損物質を溶かしてキレイに拭き取るために使う清掃に使うものであって、絶縁力強化のために塗るものではありません。絶縁物のメグが下がらないようにするために付着した汚れを清掃するものです。汚れの付着で下がってしまったメグを元のように回復させるためのクリーナーの働きをするもので、使いやすいように紙に染み込ませているものです。「メグアップ」の商品名から、塗れば絶縁力がアップするものと勘違いする人が多いようですが、かならず付着した水分はキレイにふき取って、十分にかわかしてからでなければ荷電してはいけません。どうしても乾かす時間がないときは、水でしか溶けない汚損も存在しますが、無水アルコールで、清掃するしかありませんが、それでもやらないよりははるかにいい結果がでます。
70~80%の消毒液をお使いの方もおられますが、水とアルコール以外のものが入っていますので、おすすめはできません。

KV-NC01クリーナー(写真は100mlですが、500mlのKV-NC02もあります)と三菱製メグアップで、VCBを清掃中(洗浄剤を拭きとって乾かしているところ)

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https://youtu.be/2B6NMHf9UDQ

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https://youtu.be/-xCCsJuVNOw

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