JIS盤用VCBの保守と更新 (第12回:結露以外の原因による絶縁劣化)
結露以外による水分が盤に影響与える例も多くあります。
例えば、施工方法によるのですが、屋外盤で、コンクリートのベースにたまった雨水が、チャンネルベースと、コンクリートとのスキマを通って、チャンネルベースの中に侵入し、JIS盤の床に、池のように溜まってしまう例があります。
この侵入を防ぐためには、チャンネルベースにコーキングを施すのが有効ですが、これは、逆に、コンクリートベースが水平の場合にチャンネルベースの換気口から、内部に侵入した雨水を外に逃がせなくなるので、逆に中に溜まってしまうというケースもありますので、結局は、JIS盤の下には必ず排水口を設ける必要が出てきます。
但し、排水口の出口もまた定期的に清掃しないと詰まってしまって排水機能が低下するという問題も生じますので、細かい注意が必要です。
施工上の問題は、基本的に工事業者の責任ですので、なかなか電気管理技術者としては、口の出しにくい問題ですが、一つの解決方法として、下からの汚損に弱いVCBなどの高圧機器の下にある換気口の場所だけでも、鉄板を置いて塞ぐだけで絶縁劣化対策となります。
真下にある換気口を塞ぐとVCBは熱くなりすぎないかご心配な方もおられるかと思いますが、定格電流が、400A、600AのVCBに対し、実際に流れている電流は、多くても50A程度であり、熱的に心配となる状況はありません。(発熱量は、電流の二乗に比例します)
チャンネルベースの換気口と、JIS盤の床の換気口が原因となって、JIS盤に湿度と汚損物質が侵入するケースが多いので、地域によっては、吸入のための換気口をJIS盤の扉に鎧戸状に儲けて、内側に、防塵フィルターを設けている場合もあります。(Ex.火山灰が多い鹿児島地方など)
但し、こうしたフィルターは、定期的に交換や清掃を必要とするため、メンテナンスに手間がかかり、一般的に使用するのは困難な状況もあります。
水も電気と同じく物理法則に従って自然に移動する(高い方から低い方に流れる)訳ですから、落ち着いてじっくり考えれば、どういう結果になるかの想像は比較的容易です。
地域性による問題としては、粉雪が降る地域の雪対策も大変です。
水分を多く含んだ雪は重いので、問題になることは少ないのですが、きわめて軽い粉雪が降る地域では、この粉雪が空気と一緒に盤内に流れ込んでしまいますので、きわめて厄介です。
この侵入した粉雪が、DS等の上に積もって、融けますとDS等の汚れを溶かして、汚水となって電線を伝いVCBに流れ込むということになり、防ぐのは極めて難しい状況となります。
パウダーのような雪質は、スキーを楽しむには最高ですが、絶縁劣化対策の上では実にやっかいな雪ということになります。
北海道で、こうした粉雪の対策としては、仕方がないので、冬季の間は、JIS盤全体をカバーして粉雪を防ぎ、春になったらカバーを外すようなことももされているようです。
電力は主に夏期のクーラーに使う電力が最大であり、冬の暖房は電気では足りないので、ストーブになるため使用する電力量が少ないので、こうした対策も可能なようです。
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